多くのランナーは心臓のケアを怠っている? 心臓に必要な栄養素とは
2018.5.20
こんにちは。
マラソン選手は心拍数が低いとよく言われていますが、あれほど過酷なトレーニングを行っているのに、心臓がバクバク言わないのはなぜでしょうか?
それは、スポーツ心臓と呼ばれる心臓になっているからかもしれません。
スポーツ心臓とは安静時の心拍数が正常の基準値を大きく下回る心臓のことで、一般成人でいえば、一般成人基準値50~90回/分を大きく下回る40~50回/分などの数値になるようです。
(元マラソン選手の高橋尚子さんは心拍数が30台だったそうです。)
しかし、スポーツ心臓になるためにもマラソン選手は過酷なトレーニングにプラスして心臓のケアがちゃんと行われ、十分な栄養が心臓にまでいきわっているからだと思われます。
みなさんはランナーにとって大切な心臓をきちんとケアしてますか?心臓に必要な栄養を十分に補給できていますか?
心臓は、全身に血液を送り出すために絶えず活動しています。その活動のエネルギー源となっているのが、コエンザイムQ10(CoQ10)という栄養素です。
本日はそんなCoQ10についてのお話です。
CoQ10は、エネルギーをつくる場所である細胞のミトコンドリアに約50%、核に約30%、小胞体に約20%分布します。
心臓、特に心筋の膜や腎臓、脾臓などミトコンドリアがたくさん存在する場所に多く存在します。
そういうわけで心臓疾患の治療にCoQ10が使われることもあります。
体内では20歳頃をピークに、加齢と共に減少します。
不足すると、ミトコンドリアが最も多く存在する心臓のエネルギーが弱まり、心臓のポンプ機能が疲労します。
すると血液を送り出す力(心拍出量)が弱まり、1回の拍動で押し出される血液量が減るため、血液が抹消まで行き届かず、手足の先が冷えたり、脚がむくんだりなど、様々な症状が出現することになります。
年を取ると、走ると息切れをするという話をよく耳にしますが、それもCoQ10の体内含有量減少が原因かもしれません。
また、CoQ10は細胞を活性酸素による酸化から守る働きもあります。
老化を早めたり、様々な疾患を引き起こす原因と考えられているのが、細胞膜の酸化です。
その酸化の引き金となるのが、活性酸素(フリーラジカル)です。
CoQ10はそれらを無害化したり、酸化された物質を分解して細胞のダメージを修復したりします。
抗酸化物質には、よく知られているものにビタミンE、ビタミンC、カロチノイド、ポリフェノール、グルタチオン等がありますが、CoQ10は最も重要な抗酸化物質の一つです。
細胞の中で特に酸化されやすいのが、細胞膜の主成分である脂質です。
CoQ10は、脂質の酸化を防いでいる重要な物質であるビタミンEに作用し、抗酸化力を強化します。
しかもCoQ10がなくなると、ビタミンEがあっても脂質の酸化作用は抑制できないことがわかっています。
つまり、CoQ10はビタミンEの酸化を抑制する作用と、脂質過酸化物の酸化反応を抑制する、二つの働きがあるのです。
ビタミンEやビタミンCがなくなるより先にCoQ10がなくなるわけですから、ビタミンEやビタミンCの欠乏が見られたら、すでにCoQ10は体内にほとんどない、と思ってください。
CoQ10は食品から補うのは難しい?
CoQ10は体内で作られますが、CoQ10の消費が著しいランナーのみなさんは、サプリメントのような形で積極的に補給することが望ましいとされています。
食物から摂れる量は1日10㎎程度ですが、健康維持に必要な量は100㎎以上と考えられてます。
イワシなら20匹以上食べなければなりませんから、やはりサプリメントを効果的に利用するのが賢明です。
CoQ10はいつ摂るのがいいか?
では、いつ摂るのか?
CoQ10は脂溶性のため、吸収されやすい食後に摂るのがベストです。
1日1回より2~3回に分けてこまめに摂るのが良いです。
より効果的にエネルギー産生を高めるには、ビタミンB群と併用すると良いでしょう。
CoQ10はランナーに不可欠
ハードなトレーニングによって筋繊維から栄養が漏れたり、呼吸によって体内に活性酸素が大量に発生したりします。
特にランナーは普通の人より大量に呼吸しますから、活性酸素の発生も多くなるのです。
そこでCoQ10の補給による抗酸化は欠かせなくなります。
またパフォーマンス向上や持久力の持続には、心臓の疲労を抑えるためにエネルギー代謝を促進するCoQ10をぜひ摂りたいですね。
ランナーのみなさんは日頃の練習にプラスして心臓のエネルギー源となるCoQ10を摂ることにより、衰えにくくて強い心臓をつくっていきましょう。
本日は以上です。
ありがとうございました。
ちなみに僕自身が愛用しているCoQ10です↓(^ ^ ;)
参考文献
(1)Sojaa A.M.& Mortensen S.A. (1997) Mol Asp of Med. 18 (s159-s168)
(2)Gaby A.R. (1996) Alt Med Rev. 1 (3) 168-175
(3)Kalen A, et al, Lipids 24(7), 579-584 (1989)
(4)Kamei et al, Internat J. Vit. Nutr. Res 56 (1986) 57-63
(5) 健康カガク・ラボ https://www.knk-lab.jp/index.html