高強度トレーニングによる免疫低下には炭水化物が効果的
2018.3.31
こんばんは。
ランナーのみなさんはトレーニングの際、自分を追い込むまで行っていませんか?
自分を追い込むほどの高強度なトレーニングは免疫力を低下させるといわれています。
本日はトレーニングと免疫についてお話いたします。
風邪をはじめとした感染症からガンにいたるまで、免疫力が強いほど病気への罹患率は低いことが分かっています。
そして、強度が高いトレーニングをするほど免疫力の低下が顕著になるということも医学的に明らかになっています。
実際、日常的に高強度のトレーニングを続けているトップアスリートたちは、一般の人たちよりもインフルエンザなどの感染症にかかりやすいことがデータで証明されています。
しかし、有酸素運動を維持できるような心拍数をキープした走りであれば、免疫力の低下はある程度防げるという学説もあります。
そのため、強度の高いトレーニングを行う場合には、1週間に1回程度は休息日を設けることが得策といえます。
追い込み期だからこそ、あえて休息日を設けるべきなのは、肉体のリカバリーのためだけではなく、免疫力のリカバリーのためでもあるのです。
高強度のトレーニングでは、免疫の最前線で働くNK細胞(ナチュラルキラー細胞)やマクロファージに代表される「自然免疫」の低下が著しくなります。
なかでも、NK細胞はトレーニング中には活性化し続けますが、トレーニングを終えた直後から急激に不活性化します。そして再び、徐々に回復していくという過程をたどります。
回復に要する時間はトレーニングをした時間の4倍といわれています。
たとえば、60分走った場合には、最低でも4時間は外部から進入したウイルスなどの異物に対する抵抗力が弱っている状態となるのです。
しかし、高強度のトレーニング中に炭水化物を摂取すると、免疫の低下を最小限に抑えることができ、身体の回復を助けることも明らかとなりました。
炭水化物を摂取すると、強度のトレーニングの間も血糖値が維持され、血糖値の安定は身体のストレス応答を軽減し、そのことが免疫細胞のあらゆる炎症を和らげてくれるのです。
では、どのくらいの炭水化物が免疫低下を防ぐのか?
トレーニング中には1時間あたり30~60gの炭水化物を摂取することが正常な免疫機能のサポートを促進すると報告されています。
トレーニング中に摂る炭水化物の例としては、ブドウ糖やバナナ、果物などを含むドリンク、ゼリーなどが挙げられます。
そういったことから、トレーニング中は炭水化物の摂取をお勧めします。また、トレーニング後は、満員電車や人ごみを避けるなど、不特定多数の人間と接触しないようにして、できるだけ異物が体内に入りにくい環境に身を置くことが肝心です。
本日は以上です。
どうもありがとうございました。
参考文献
(1)Jonathan M. Peake, Oliver Neubauer, Neil P. Walsh, and Richard J. Simpsonet al. Recovery of the immune system after exercise. J Appl Physiol 122: 1077–1087, 2017.
(2)Lancaster GI, Khan Q, Drysdale PT, Wallace F, Jeukendrup AE, Drayson MT, Gleeson M. Effect of prolonged exercise and carbohydrate ingestion on type 1 and type 2 T lymphocyte distribution and intracellular cytokine production in humans. J Appl Physiol (1985) 98: 565–571, 2005.