ランナーズBlog

ランナーのための栄養学およびサイエンス

マラソンのレース前にウォームアップは必要か??

2018.3.11

 

こんばんは。

 

ランナーのみなさんはマラソンのレース前にウォームアップをしていますか?

レース会場ではウォームアップをしているランナーを多くみかけますが、僕はウォームアップはせずに音楽だけを聴いてます(^ _ ^;)

本日は、走る前にウォームアップが必要なのかどうかについてお話します。

 

一般にレース前やトレーニング前のウォームアップはパフォーマンスの質を高め、ケガのリスクを減らすといわれています。

とはいえ、ウォームアップの継続時間、強度、形式は、それを行う人、そのあとのトレーニング、環境的な条件によって異なるため、ウォームアップの構成要素についての普遍的な基準はないのです。

さらにウォームアップの正当性に関しても、ある程度限られた証拠しかないのです。

 

ウォームアップが中距離ランニングのパフォーマンスに有益であるという報告があります (1, 2)。

ウォームアップや予備的な運動によって、ランニング中の酸素摂取量の増加率が上がり、それによって有酸素エネルギーの供給量が増えるので疲労感が軽減され、維持が可能な走行速度が上がる可能性があるとされているのです。

また、運動強度が上がるほど、ウォームアップは重要になります。

ウォームアップで筋肉の温度が上がると、全力疾走のパフォーマンスがよくなるとされており、それは最大力の発揮に最適な筋肉の温度があるからです。

 

しかし、マラソンは爆発的な力が必要な種目ではなく、大半のランナーのパフォーマンスには、利用できるエネルギー量によってある程度の限界が生じやすいのです。

運動前のウォームアップはエネルギーを消費するので、マラソン中に利用できるエネルギー量を減らしてしまうのです。

ラソンの場合は、スタートから数キロメートルを使ってウォームアップするほうが、スタート前にわざわざ体を動かしてよけいなエネルギーを費やすよりも合理的です。

 

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ウォームアップでランニング中のけがを防げるという概念には、残念ながらしっかりした裏づけがなく、その理由は研究の不足にもあります。

この分野には適切な対照群を置く調査を伴う、さらなる研究が必要とされています。

 

以上より、マラソンのレース前にはウォームアップをする必要はなく、重要なことは過度な興奮状態を緩和することです。自分がリラックスできると思う音楽を聴いたり、原っぱで寝転ぶなどして緊張をほぐすことを心がけてみてください。

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本日は以上です。

ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

参考文献

(1) Veronique L. Billat, Valery Bocquet, Jean Slawinski, L.Laffite, A.Demarle, P. Chassaing, and Jean Pierre Koralsztein, “Effect of a Prior Intermittent Run at v VO2 Max on Oxygen Kinetics During an All-Out Severe Run in Humans,” Journal of Sports Medicine and Physical Fitness 40 no.3 (September 2000): 185-194.

 

(2) Stephen A. Ingham, Barry W. Fudge, Jamie S. Pringle, and Andrew M. Jones, “Improvement of 800-m Runnig Perfomance with Prior High-Intensity Exercise,” International Journal of Sports Physiology and Performance 8 no.1 (January 2013): 77-83.

 

(3) ジョン・ブルーワーほか著 ランニング・サイエンス 河出書房新社(2017)

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