ランナーズBlog

ランナーのための栄養学およびサイエンス

早朝ランニングはリスクを伴う⁉

2018.6.3

 

こんにちは。

 

ランナーのみなさんはランニングをする時間帯はいつですか?

なかには早朝にランニングする方もいると思います。

本日はそんな早朝ランニングについてお話していきたいと思います。

 

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私たちは毎日一定のリズム(概日リズム)を刻みながら生活をしています。

体温や体内のホルモンをはじめ、私たちの生体機能はこの概日リズムの影響を受けており、当然、運動パフォーマンスもこの概日リズムの影響を受けて変化します。

したがって、早朝という時間帯に行われる朝練習にも概日リズムによる何らかの効果を考える必要があるといえます。

 (食事をする時間帯はいつがいいのか? も参照)

 

  

日周期と競技成績や運動パフォーマンスの関係について多くの研究が行われていますが、午前中より午後のほうが良いというのが今日の一般的な見解です(1, 2, 3, 4)。

たとえばReillyが行った水泳の実験(100mおよび400m)では、もっとも記録が悪いのは朝の6時であり、時間が経つとともに記録は向上し、もっとも記録が良いのは夜の10時と報告されています(5)。

その他の実験結果でも、筋力・パワー系など多くのスポーツ種目では、総じて午後の遅い時間帯にもっともパフォーマンスがよくなっていくとされています。

その原因として、深部体温をはじめエネルギー代謝、体内のホルモン、筋神経系機能などの概日リズムの影響であることがよく知られています。

一般に体温は起床する前の早朝に最低値を示し、就寝前の夜間に最高値に達しますが、実際多くのスポーツ種目では上記の通り体温の高い午後の遅い時間帯に良い成績が出ています。

上記のような瞬発的な運動に比べて持久的な運動パフォーマンスの実験結果は一様ではありませんが、多くの研究では早朝と夕方のパフォーマンスに差がないと報告しています(4)。

したがって、運動パフォーマンスの観点では早朝練習を積極的に推奨する理由は見当たらないということになります

 

 

日本における15歳以上の有職男女の平日の有酸素運動の実施率を時間帯別に示したデータがあります(図1)。

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このデータから、有職者は「昼休み」や「就業後」よりも「早朝」に運動している人口が多いことがわかります。

しかし多くの市民ランナーはトレーニングの目的によって時間帯を変える余裕はないと思われます。

早朝練習に取り組むランナーの中には意図して「早朝」を選んでいるのではなく、仕事の都合などで選ばざるを得ないランナーの方もいると考えられます。

 

 

また市民ランナーの中にはアスリートのように「記録向上」を目指す人もいると思いますが、「健康」のために走っている方も多いはずです。

そのため早朝練習はトレーニングとして気をつけるべきこともいくつか考えられます。

記録向上を狙う市民ランナーにとって避けては通れない高強度のトレーニングは、早朝練習では実施しにくいことが考えられます。

トレーニング強度が高くなるほど、エネルギー基質は糖質(グリコーゲン)に依存します。

そのためグリコーゲン貯蔵量が少ない状態で行う早朝練習は、グリコーゲンが十分な状態と比べて高強度のトレーニングを実施するのが困難です(6, 7)。

高強度のトレーニングを早朝練習で実施する際はその点を考慮した強度設定が必要だと考えられます。

また、早朝練習は疲労の度合いが大きくなる可能性があります。

疲れたと感じる過程には様々な要因が関わっていますが、その中の一つにグリコーゲン量の減少があげられます。

早朝練習は体内のグリコーゲン量が少ない時間帯に行うため、同じ運動量であっても自覚する疲労が大きいと考えられます。

疲労を自覚しながら運動は注意力が散漫になるため、外傷や障害のリスクが高いとの指摘がなされています(8)。

 

 

体調管理という点では疾病との関係も考えなければなりません。

グリコーゲン量が少ない状態での運動はグリコーゲン量が十分な状態と比べてリンパ球など免疫細胞の低下が大きいことが報告されています(9)。

これは、早朝練習の実施による免疫力低下のリスクを考えさせられます。

しかし早朝練習に限らず、適度な運動は免疫力を向上させる一方、度が過ぎた激しい運動は免疫力の低下につながることが知られています(10)。

 (高強度トレーニングによる免疫低下には炭水化物が効果的も参照)

“適度”と“激しい”の境界を明示するのは困難ですが、早朝練習は同じ運動であっても相対的な強度が高くなります。そのため早朝練習では“適度”な運動の枠からはみ出す可能性が高くなると考えられます。

 

 

また、疾病の中には時間帯によって発作のリスクが異なるものがあります。

たとえば高血圧症は早朝に血圧が上昇する場合もあり、そのタイミングで運動をすると血管の負担が大きいため避けるべきとの指摘があります。

しかし、高血圧症の患者を対象に早朝または夕方に運動をした場合の血圧変化を比較した研究では、必ずしも早朝の運動にリスクはないと報告されています(11)。

起床直後を避け、十分な準備運動と水分補給を心掛けることでリスクを減らすことができるかもしれません。

 

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さいごに、、、

早朝練習がすべての面で優れた唯一無二のトレーニング方法ではありませんし、万人に共通して有効なトレーニング方法ではないことを理解しておかなければなりません。

それでも、長年にわたり多くのランナーが早朝練習を実践し、かつ早朝練習を重視してきた選手が輝かしい実績を残してきたことは事実です。

この記事をみてくださったランナーのみなさんが自分自身にあったトレーニング計画を立てる際に役立てば幸いです。

 

 

本日は以上です。

ありがとうございました。

 

 

 

 

 

参考文献

(1)Atkinson G et al. (1996) Circadian variation in sports performance. Sports medicine. 21:292-312

 

(2)Cappaert TA. (1999) Time of Day Effect on Athletic Performance: An Update. J Strength Cond Res. 13:412-421

 

(3)Drust B et al. (2005) Circadian rhythms in sports performance-an update. Chronobiol Int. 22:21-44

 

(4)Chtourou H. (2013) Effect of Time-of-Day on Muscle Fatigue: A Review. J Nov Physiother. 3:160  

 

(5)Reilly T. (1990) Human circadian rhythms and exercise. Crit Rev Biomed Eng. 18:165-180

 

(6)Hulston CJ et al. (2010) Raining with low muscle glycogen enhances fat metabolism in well-trained cyclists. Med Sci Sports Exerc. 42:2046-2055

 

(7)Yeo WK. (2008) Skeletal muscle adaptation and performance responses to once a day versus twice every second day endurance training regiments. J Appl Physiol. 105:1462-1470

 

(8)Gleeson M et al. (2004) Exercise, nutrition and immune function. J Sports Sci. 22:115-125

 

(9)Petibois C et al. (2003) Biochemical aspects of overtraining in endurance sports. Sports Med. 33: 83-94

 

(10)Nieman DC. (1994) Exercise, upper respiratory tract infection, and the immune system. Med Sci Sports Exerc. 26:128-139.

 

(11)Jimenez AH et al. (1994) Hemodynamic and hemostatic responses to morning and evening exertion in systemic hypertension and implications for triggering of acute cardiovascular disease. Am J Cardiol. 74:253-257

 

 

 

 

多くのランナーは心臓のケアを怠っている? 心臓に必要な栄養素とは

2018.5.20

 

こんにちは。

  

ラソン選手は心拍数が低いとよく言われていますが、あれほど過酷なトレーニングを行っているのに、心臓がバクバク言わないのはなぜでしょうか?

 

それは、スポーツ心臓と呼ばれる心臓になっているからかもしれません。

 

スポーツ心臓とは安静時の心拍数が正常の基準値を大きく下回る心臓のことで、一般成人でいえば、一般成人基準値50~90回/分を大きく下回る40~50回/分などの数値になるようです。

(元マラソン選手の高橋尚子さんは心拍数が30台だったそうです。)

 

しかし、スポーツ心臓になるためにもマラソン選手は過酷なトレーニングにプラスして心臓のケアがちゃんと行われ、十分な栄養が心臓にまでいきわっているからだと思われます。

 

みなさんはランナーにとって大切な心臓をきちんとケアしてますか?心臓に必要な栄養を十分に補給できていますか?

 

心臓は、全身に血液を送り出すために絶えず活動しています。その活動のエネルギー源となっているのが、コエンザイムQ10CoQ10という栄養素です。

 

本日はそんなCoQ10についてのお話です。

 

 

コエンザイムQ10CoQ10)とは 

CoQ10は、エネルギーをつくる場所である細胞のミトコンドリアに約50%、核に約30%、小胞体に約20%分布します。

心臓、特に心筋の膜や腎臓、脾臓などミトコンドリアがたくさん存在する場所に多く存在します。

そういうわけで心臓疾患の治療にCoQ10が使われることもあります。

 

体内では20歳頃をピークに、加齢と共に減少します。

不足すると、ミトコンドリアが最も多く存在する心臓のエネルギーが弱まり、心臓のポンプ機能が疲労します。

すると血液を送り出す力(心拍出量)が弱まり、1回の拍動で押し出される血液量が減るため、血液が抹消まで行き届かず、手足の先が冷えたり、脚がむくんだりなど、様々な症状が出現することになります。

年を取ると、走ると息切れをするという話をよく耳にしますが、それもCoQ10の体内含有量減少が原因かもしれません。

 

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また、CoQ10は細胞を活性酸素による酸化から守る働きもあります。

老化を早めたり、様々な疾患を引き起こす原因と考えられているのが、細胞膜の酸化です。

その酸化の引き金となるのが、活性酸素(フリーラジカル)です。

CoQ10はそれらを無害化したり、酸化された物質を分解して細胞のダメージを修復したりします。

抗酸化物質には、よく知られているものにビタミンE、ビタミンC、カロチノイド、ポリフェノール、グルタチオン等がありますが、CoQ10は最も重要な抗酸化物質の一つです。

 

細胞の中で特に酸化されやすいのが、細胞膜の主成分である脂質です。

CoQ10は、脂質の酸化を防いでいる重要な物質であるビタミンEに作用し、抗酸化力を強化します。

しかもCoQ10がなくなると、ビタミンEがあっても脂質の酸化作用は抑制できないことがわかっています。

つまり、CoQ10はビタミンEの酸化を抑制する作用と、脂質過酸化物の酸化反応を抑制する、二つの働きがあるのです。

ビタミンEやビタミンCがなくなるより先にCoQ10がなくなるわけですから、ビタミンEやビタミンCの欠乏が見られたら、すでにCoQ10は体内にほとんどない、と思ってください。

 

 

CoQ10は食品から補うのは難しい?

CoQ10は体内で作られますが、CoQ10の消費が著しいランナーのみなさんは、サプリメントのような形で積極的に補給することが望ましいとされています。

 

食物から摂れる量は1日10㎎程度ですが、健康維持に必要な量は100㎎以上と考えられてます。

イワシなら20匹以上食べなければなりませんから、やはりサプリメントを効果的に利用するのが賢明です。

 

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CoQ10はいつ摂るのがいいか?

では、いつ摂るのか?

CoQ10脂溶性のため、吸収されやすい食後に摂るのがベストです。

1日1回より2~3回に分けてこまめに摂るのが良いです。

より効果的にエネルギー産生を高めるには、ビタミンB群と併用すると良いでしょう。

  

 

CoQ10はランナーに不可欠

ハードなトレーニングによって筋繊維から栄養が漏れたり、呼吸によって体内に活性酸素が大量に発生したりします。

特にランナーは普通の人より大量に呼吸しますから、活性酸素の発生も多くなるのです。

そこでCoQ10の補給による抗酸化は欠かせなくなります。

またパフォーマンス向上や持久力の持続には、心臓の疲労を抑えるためにエネルギー代謝を促進するCoQ10をぜひ摂りたいですね。

 

 

ランナーのみなさんは日頃の練習にプラスして心臓のエネルギー源となるCoQ10を摂ることにより、衰えにくくて強い心臓をつくっていきましょう。

 

 

本日は以上です。

ありがとうございました。

 

ちなみに僕自身が愛用しているCoQ10です↓(^ ^ ;)

 

【コエンザイムQ10】

 

 

参考文献

(1)Sojaa A.M.& Mortensen S.A. (1997) Mol Asp of Med. 18 (s159-s168)

(2)Gaby A.R. (1996) Alt Med Rev. 1 (3) 168-175

(3)Kalen A, et al, Lipids 24(7), 579-584 (1989)

(4)Kamei et al, Internat J. Vit. Nutr. Res 56 (1986) 57-63

(5) 健康カガク・ラボ https://www.knk-lab.jp/index.html

 

 

 

暑さの中でのランニング

2018.5.13

 

 

こんばんは。

 

季節は徐々に夏にむかい、これから暑くなっていきますね。

暑さはランナーにとってつらい環境条件のひとつですよね。

 

本日は、暑さとランニングについてのお話です。

 

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夏場のランニングは、高温多湿に適応、対処しなくてはならない状況に陥り、

ちゃんとした対応ができなければ苦しいめに遭い、命にさえ関わる結果になりかねません。

 

ランニングは体温を上げるので、高体温症という危険な過熱状態を防ぐために、

生じた熱を冷まさなくてはなりません。

 

熱を冷ます第一の方法が発汗ですが、環境条件が高温である場合、

または空気中の水分(いわゆる湿度)のせいで汗が効率的に蒸発しない場合は、

あまり効果がありません。

 

こういう環境に対抗するために、体は高温になった血液の熱をいくらかでも外部に発散させようと、無意識のうちに血液の流れを体幹筋から皮膚へ向けるのです。

これを行いながらも、エネルギー産生を助けるために筋肉にも血液を送る必要があるので、心拍数を上げなくてはなりません。

そのため、高温多湿の環境ではランニングがずっとつらく感じられ、実際に体に負担をかけているのです

 

多くのエリートランナーは、暖かい環境に移ってトレーニングをするあいだに高温に適応したり、最先端の高温室を使って高温多湿に順応したりするそうです。

こういう方法は大多数の市民ランナーにとっては現実的ではないですが、

高温多湿のランニングに備えるために、自分で簡単な対策を講じることはできるのです。

 

高温多湿の状況で行われる可能性のあるレースに備えるための、簡単かつ低コストな方法が、厚着によってそういう気候をごく小規模に再現する方法です。

外部が高温多湿でなくとも、衣類と肌のあいだの気候はそうなるのです。

この方法によって通常は不可能な高温で湿度の高い環境が生まれ、

その結果、高温多湿の環境でのランニングに体が適応し始めるのです。

 

重要なレース、あるいは高温多湿になりそうなレースへの準備期間は、

厚着をしてのトレーニングは実際に有益となるのです。

 

暑熱順化(徐々に体を暑さに順応させること)を行っておけば、

気温のストレスが低い環境では走るのが楽に感じられるのです。

 

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 ランナーのみなさんも無理がない程度に厚着でのランニングを試してみるのもいいかもしれませんね。

それにより暑さに強い体へとシフトし、暑い夏をのりきりましょう^^

 

 

 本日は以上です。

ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

参考文献

ランニング・サイエンス

ジョン・ブルーワー/菅 しおり 河出書房新社 2017年10月20日

 

ストレッチはパフォーマンスを向上させ、けがを予防するのか?

2018.5.7

 

 

こんばんは。

 

ランナーのみなさんはランニング前もしくはランニング後にストレッチはしていますか?

僕はランニング前はストレッチはせずランニング後にストレッチを必ず行っています。

 

本日はそんなランニングとストレッチに関するお話です。

 

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ストレッチはこれまでずっとランナーの練習の構成要素と認められており、やらないと痛い目にあうと唱えられていました。

ランニングメニューに先立って何をするにせよ、パフォーマンスを向上させるか、けがを減らす、またはその両方の効果があるべきなのですが、ストレッチの効能についての研究は、有益性に関して相反する結果を示し、ストレッチにはほんとうに時間を費やす価値があるのか、という疑問を投げかけています

 

そもそもラニングには通常、びっくりするほどの柔軟性による離れわざなど必要ないのです。

従来の静的ストレッチ(筋肉を伸ばしたまま静止した状態を約45秒間以上保つこと)をトレーニングの直前に行うと、筋力や筋パワー(瞬時に大きな力を発揮する能力)を低下させるという一連の証拠があります(1, 2)

したがって、パフォーマンスに好ましくない影響があり、けがのリスクを高めるかもしれないとまで言われています(3, 4, 5)。

とはいえ、そういう研究での各運動の長さや回数は、概して一般に行われているものを超えていたので(6)、標準的なストレッチを再現するような、さらなる研究が求められています。

 

運動前は動的ストレッチのほうがよい効果を生むので、スポーツ前の望ましいストレッチ法として導入されてきました

動的ストレッチは、ランニングのあいだに行う動作を模したもので、例えば脚を前後に踏み出す運動であるランジ、他にもスキップやバウンディングなどの跳躍運動などが挙げられます。

このタイプのストレッチなら、パフォーマンスに逆効果だったり、けがのリスクを生じさせたりはしないようですが、けがの予防やパフォーマンスの強化に有利かどうかは明らかになっていないのです(7, 8)。

動的ストレッチを伴った、特定のスポーツ向けの綿密なウォームアップには、けがのリスクを減らす効果があるという証拠は存在するとはいえ、そういう効果がウォームアップによるものか、動的ストレッチを取り入れたからなのかは定かではないのです(9, 10)。

 

それでも静的ストレッチには潜在的な役割があるのです。トレーニングの一部として長期的に行うと、パフォーマンスのなかでも特に筋力と走るスピードにプラスの効果をもたらすかもしれないとの報告があるのです(11)

また、エリート選手の場合、軟部組織の損傷が続く可能性を、静的ストレッチによってわずかに減らせることを示す証拠もあります(12)。

もし筋肉に短縮と緊張という機能上のバランス異常が生じたことから、すでに軟部組織の損傷がある場合は、ストレッチは関節の可動域を広げて、筋肉の緊張を解くことで動作の制御を回復させるので、有効と立証されています(13, 14)。

 

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つまり、結論として、ストレッチをランニング前に行うのなら動的ストレッチ、ランニング後は静的ストレッチを行うほうが望ましいと思われます

 

ストレッチに関して研究でまだ明らかでない部分も多いようですが、ランナーのみなさんは自分に合ったストレッチ法をみつけてみてはどうでしょうか。

 

 

本日は以上です。

ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

参考文献

 (1) Malachy P. Hugh and C.H.Cosgrave, “To Stretch or Not to Stretch: The Role of Stretching in Injury Prevention and Performance” Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports 20 no.2 (April 2010): 169-181.

 

(2) L.Simic,N.Sarabon and Goran Markovic, “Does Pre-Exercise Static Stretching Inhibit Maximal Muscular Perfomance? A Meta-Analytical Review” Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports 23 no.2 (March 2013): 131-148

  

(3) Ian Shrier, “Stetching Before Exercise Does Not Reduse the Risk of Local Muscle Injury: A Critical Review of the Clinical and Basic Science Literature” Clinical Journal of Sport Medicine 9 no.4 (November 1999): 191-251.

 

(4) S.M.Weldon and R.H.Hill, “The  Efficacy of Stretching for Prevention of Exercise Related Injury: A Systematic Review of the Literature” Manual Therapy 8 no.3 (September 2003): 141-150.

 

(5) W.E.Garrett Jr. “Muscle Strain Injuries” The American Journal of Sports Medicine 24 no. S2 (1996): S2-S8.

 

(6) Rubini et al. “The Effects of Stretching on Strength Performance.”

 

(7) Hugh et al. “To Stretch or Not to Stretch: The Role of Stretching in Injury Prevention and Performance.”

 

(8) Simic et al. “Does Pre-Exercise Static Stretching Inhibit Maximal Muscular Performance? A Meta-Analytical Review.”

  

(9) Stephen B. Thacker, Julie Gilchrist, Donna F. Stroup, and C. Dexter Kimsey Jr. “The Impact of Stretching on Sports Injury Risk: A Systematic Review of the Literature” Medicine & Science in Sports & Exercise 36 no.3 (March 2004): 371-378.

 

(10) Timonthy E. Hewitt, Thomas N. Lindenfelld, Jennifer V. Riccobene, and Frank R. Noyes, “The Effects of Neuromuscular Training on the Incidence of Knee Injury in Female Athletes.” The American Journal of Sports Medicine 27 no.6 (November 1999):699-704.

 

(11) Nicholas Caplan, Rebecca Rogers, Micheal K. Parr, and Phillip R. Hayes, “The Effect of Proprioceptive Neuromuscular Facilitation and Static Stretch Training on Running Mechanics” The Journal of Strength & Conditioning Research 23 no.4 (July 2009): 1175-1180.

 

(12) Katie Small, Lars Mc Naughton, and Martyn M Matthews, “A Systematic Review into the Efficacy of Static Stretching as Part of a Warm-up for the Prevention of Exercise-Related Injury” Research in Sports Medicine 16 no.3 (2008): 213-231.

 

(13) Phil Page, “Current Concepts in Muscle Stretching for Exercise and Rehabilitation” International Journal of Sports Physical Therapy 7 no.1 (February 2012): 109-119.

 

(14) C.A.Smith, “The Warm-up Procedure: To Stretch or Not to Stretch. A Brief Review” The Journal of Orthopaedic and Sports Physical Therapy 19 no.1 (January 1994):12-17.

 

 

 

 

 

 

ランニング中に音楽を聴くとパフォーマンスが向上する?

2018.5.1

 

こんばんは。

 

ランナーのみなさんは、ランニング中に音楽を聴いてますか?

僕は毎回自分が好きな音楽を聴きながらランニングしてます ^ ^

 

今回はそんな音楽とランニングについてのお話です。

 

音楽は人の精神に強い影響を与えるといわれています

技術が進歩したおかげで、ランニング中に音楽を聴くランナーの数は急激に増えています。

どんなタイプの音楽が一番やる気を起こさせるのかを、数多くの研究が探ろうとしてきました。

例えば1990年代からロンドンのブルネル大学のコスタス・カラジョージス博士が、この問題についての幅広い調査を行ってきました(1)。

そして何百もの研究から、やる気を高める音楽を選ぶときに非常に役立つ理論を構築し、磨き上げてきました。

 

カラジョージス博士の理論は、音楽に関係する特定の要因を大きくふたつに分類しています。

ひとつはリズムやハーモニー、歌詞の意味などの内在的な要因。

もうひとつが文化、年齢、その曲との個人的な関係など、その曲の外部にありながらも、曲と密接に関わっている要因です。

博士の研究チームはこのふたつを念頭に置きながら、さまざまな曲の“やる気指数”を評価できる尺度を開発しました。

このやる気指数が高いほど、人はその歌にやる気を覚えるそうです。

チームの研究の成果から、4/4拍子の速いテンポの、気分を高揚させる歌詞の曲のほうがやる気指数が高いという、大まかな原則が浮かび上がったというのです。

 

もちろん、音楽の好みはさまざまなので、誰かのやる気を引き出す曲がほかの人のやる気も引き出すとは限らないのです(2)。

個人の選択には文化、年齢、過去の経験などが介在し、人格形成期の個人的な思い入れのある曲には、やる気を大きく引き出す効果があります。

 

やる気を起こさせる音楽は覚醒度を高めやすく、人をより興奮させ、活力を覚えさせます

これに対し、鎮静作用のある音楽は覚醒度を下げて、穏やかな気持ちにさせるのです

パフォーマンス向上戦略としての音楽の有効性で大事なのは、自分の望む感情(例えば、緊張や興奮のみなぎった状態なのか、穏やかで落ち着いた状態なのか)をはっきりさせて、その状態に合う適切な音楽を選ぶことです。

そういうふうに使えば、音楽はパフォーマンスに適した心理状態になるうえで、有用な手段になることがわかっているのです。

 

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普段ランニング中に音楽を聴かないランナーの方も一度は音楽を聴きながら走ってみるのもいいかもしれないですね。

そして、自分に最適な音楽を探してみてくださいね。

より良いパフォーマンスの向上が期待できるはずです。

 

 

 

本日は以上です。

ありがとうございました。

 

 

 

 

参考文献

(1) Costas I. Karageorghis, Peter C. Terry, Andrew M. Lane, Daniel T. Bishop, and David Priest, “The BASES Expert Statement on Use of Music in Execise” Journal of Sports Sciences 30 no. 9 (May 2012): 953-956.

 

(2) Costas Karageorghis, David Priest, Peter Terry, Nikos Chatzisarantis, and Andrew Lane, “Redesign and Initial Validation of an Instrument to Assess the Motivational Qualities of Music in Exercise: The Brunel Music Rating Inventory-2” Journal of Sports Sciences 24 no. 8 (August 2006): 899-909.

 

 

 

 

 

トレーニング後の疲労回復にファストフードは効果的⁉

2018.4.21

 

こんにちは。

 

ランナーのみなさんは食事には気をつけていると思います。

しかし、たまには健康にはあまりよくないと思われがちなファストフードも食べたくなることもあるのではないでしょうか。

 

そんなランナーみなさんに朗報です。

ハンバーガーやフライはトレーニング後の疲労回復に有効かもしれない、という研究報告があります。

 

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ブレント・ルビイらの研究チームは、トレーニング後にゲータレードやパワーバーのようなスポーツサプリメントの代わりにファストフードを食べても、グリコーゲン回復には有意な差異がみられないことを発見したのです。

 

研究チームは、11名の男性サイクリストを対象に2つの実験を実施しました。各々のトライアルは90分のグリコーゲンを枯渇させるサイクリングとその後4時間の回復期から構成されていました。

サイクリング直後と2時間後に飲食物が提供され、1つはファストフードで、ハンバーガー、フレンチフライ、ハッシュドポテトなどを。もう1つはスポーツサプリメントでした。

 

4時間後、対象者は20㎞のタイムトライアルに挑戦しました。

研究チームは筋生検と採血を行い種々の測定を行った結果、グリコーゲン回復は、どちらの食事でも差がないことを発見したのです。

タイムトライアルにおいてもどちらの群にはパフォーマンスに差がみられなかったのです。

要するに、ゲータレードやパワーバーのようなスポーツサプリメントを摂取しようが、ファーストフードを摂取しようが、どちらでもグリコーゲンは同じ程度回復するということです。 

 

 

しかし、ルビイは次のように言っています。

「我々は研究参加者に、少量のファストフードを提供しただけで、決してスーパーサイズを与えてはいなかった。我々の結果のカギになるのは、適正なサイズということである。」

 

つまり、トレーニング後ならハンバーガーやフライなどをドカ食いしてよいというわけではないということです。

適量」ということが重要であり、食べ過ぎないよう注意が必要です

  

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なので、適量であればトレーニング後に糖質の補給としてファストフードで置き換えてみるのもいいのかもしれないですね。

 

 

本日は以上になります。

ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 参考文献

Michael J. Cramer, Charles L. Dumke, Walter S. Hailes, John S. Cuddy, Brent C. Ruby. Postexerise Glycogen Recovery and Exercise Performance is Not Significantly Different Between Fast Food and Sport Supplements. International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism. (2015)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

低炭水化物食により脂肪燃焼能力が高まる

2018.4.14

 

 

こんばんは。

 

みなさんは食事をとる際、三大栄養素(炭水化物、脂質、たんぱく質)のバランスを気にされていますか?

食事における三大栄養素の割合(エネルギー構成比)の理想は、炭水化物50~65%、脂質20~30%、たんぱく質13~20%となっています。

 

最小限の炭水化物に制限した食事で脂肪をエネルギーとして使う能力が高まることが研究により知られていますので、今回はそのことについてお話します。

 

その研究では、低炭水化物食の選手は最大負荷運動時および長時間運動時に、高炭水化物食の選手に比べ、2倍の脂肪を燃焼したといわれています

 

この研究での低炭水化物食とは炭水化物10%、たんぱく質19%、脂肪70%の割合で、高炭水化物食は炭水化物59%、たんぱく質14%、脂肪25%の割合です。

 

選手は、年齢、能力、トレーニング力、最大酸素容量はほぼ同じであり、低炭水化物食の選手10人、高炭水化物食の選手10人を調べたものです。

その結果、最大脂肪燃焼率の平均値について、低炭水化物食の選手(毎分1.5g)は、高炭水化物食の選手(毎分0.67g)よりも2.3倍高かったのです。

 

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また、炭水化物の摂取量が低いにもかかわらず、脂肪を燃焼している選手の筋グリコーゲン(安静時の炭水化物の貯蔵形態)は通常レベルだったのです。

長時間走る間、高炭水化物食の選手と比べて、ほぼ同じレベルのグリコーゲンを分解し、回復時に、同じグリコーゲン量を合成したというのです。

 

筋グリコーゲンは、激しい運動時のエネルギーをサポートする重要なエネルギー源であることがわかってますが、これは、高炭水化物食が重視されていたここ数十年に導かれたことなのです。

しかし、この研究結果から食事で炭水化物が制限されていても、グリコーゲンレベルを保つシステムがあるように思われます。

 

 以上より、炭水化物を制限することで長時間運動時の脂肪燃焼能力が高まり、脂肪からのエネルギーを効率よく使うことができるようになるかもしれません。

実際に炭水化物を制限しているアスリートも中にはいるみたいですね。

 

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炭水化物制限に関しては賛否両論ありますが、興味がある方は無理をしない程度で一度試してみるのもいいかもしれませんね。

 

 

今回は以上です。

ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 参考文献

Jeff S. Volek, Daniel J Freidenreich, et al.

Metabolic characteristics of keto-adapted ultra-endurance runners.

Metabolism (2016)